私たちの体は口から食べたもので出来ています。 『食』は命のもと、元気や健康の源です。
賢く『食』を選び、『食べ方』を学び自分の健康を自分で守る。口を命の入り口にするか、病の入り口にするかそれは私たちの意識いかんに関わっています。賢く「食」を選び食べ方を学ぶ。生涯の食習慣の礎となる子どもたちの「食」を考えるとき、子ども達のために何ができるのか?明るく元気で笑顔の子どもたちを育むために咀嚼(そしゃく)をテーマに今私たちができることをお話します。

<噛むから始まる健康づくり>~噛ミング30(カミングサンマル)を目指して~

言うまでもなく、子どものころに身についた食習慣は、その人の一生の食習慣を左右する大きな意味を持ち、子ども達の豊かな人間性を育み、生きる力を身につけていくために「食」の持つ意味は何よりも重要です。子ども達は家庭や社会との様々な関わりの中で、「食」に関する知識・技術や「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践できるようになっていきます。第3次食育基本計画にもあるように、食べ物と身体の関係等を知り、自分にとって必要な食事の内容と量を理解し、食べ物を選択する力や、よく噛んで味わって食べるなどの食べ方を身につけることが生涯健康であるための資質や能力を育成していくうえで大切です。しかし、現在の子ども達を取り巻く環境は本来食育推進において重要な役割を果たすべき家庭が十分に機能していないのが実情で6つの「こ」食化(個食・固食・子食・孤食・小食・粉食)が子ども達の食生活の悪化につながっています。こうした中、子ども達の健康課題に対処すべき学校歯科保健の役割は大きく特に歯の生え代わりなどお口の機能が大きく変化する学童期にそのステージにあった食べ方を学ぶことは重要です。よく噛むことによって唾液がたくさん分泌され、味わいがより深くなることや、よく噛むことが、肥満予防、味覚の発達、発音、脳の活性化、むし歯予防、がんの予防、消化を助けるなど、全身の健康に関わるのことを学びます。給食時の誤飲・誤嚥・窒息事故防止の観点から、「食べ方」の指導、食べるときの姿勢などや緊急処置法の指導も忘れてはなりません。一口の量を知り、食品の物性を学ぶことも子ども達にとっては大切です。また食べ方の及ぼす影響は多面的です。例えば精神機能への拡がりです。よく噛むことで心が寛ぎ、ストレスも発散されます。豊かな五感(視覚・嗅覚・味覚・聴覚・触覚)も育まれます。この五感を育む食べ方が、人間性豊かな笑顔の素敵な子ども達の心を育みます。
食を通して生涯健康で過ごすためには、その基盤となる歯・口が正常に機能することが前提となることは言うまでもありません。歯・口の健康と関連した心身の健康づくりの視点から指導することは、こども一人ひとりの「生きる力」を育みます。「噛ミング30(カミングサンマル)」というキャッチフレーズが子ども達を支える一つの指針として提唱され、噛ミング30運動が8020運動と同様に各職種と連携し推進されることを心から願っています。

*噛ミング30(カミングサンマル)
一口30回以上噛むことを目標としたキャッチフレーズ。平成21年7月に歯科保健と食育のあり方に関する検討会報告書「歯・口の健康と食育~噛ミング30を目指して~」(厚生労働省)より発出されて、噛ミング30運動が展開されています。

  竹内 純子