大規模災害が発生した場合、静岡県歯科医師会は県行政や県警察との取り決めに基づき、緊急性が高い歯科医療や避難所などでの歯科保健活動、あるいは 身元確認作業に従事します。具体的には、県下19郡市区歯科医師会に所属する歯科医師会が、それぞれチーム編成をして出動するか、県内の歯科医師だけで手 に負えない場合には、近県の歯科医師会に応援を求めることもあります。

避難生活が中長期にわたる場合には、食事の内容や生活環境の変化により、体調不良や生活不活発病を来たしやすくなると言われています。また、阪神淡 路大震災の際に分かった課題として、避難生活者の災害関連死の死因の多くに肺炎、とりわけ『誤嚥性肺炎』が多かったことがありました。その対応策として、 歯科治療によりしっかり噛める状態にしておくことと、歯科医師や歯科衛生士による口腔ケアなどの管理を受けることが有効で、様々な感染症の発生リスクを減 らすことになります。

東日本大震災では、大津波により町に1か所も歯科診療所がなくなってしまった地域がありました。そこでは地域歯科医療の崩壊により、治療の継続がで きなくなった患者さん、義歯を無くしたお年寄りが、行き場をなくし大変苦労されました。そんな方々に対して、被災県の歯科医師会の歯科医師、あるいは支援 出動した全国の歯科医師が、基幹避難所内に設けた仮診療室や、診療車による巡回診療などにより、被災者の歯科保健医療にあたりました。現在でも、仮設住宅 などへの巡回は続けられています。

発災から2年数か月経過した現在では、約70%の歯科医師が、元の場所か同じ市町の違う場所で診療に復帰し、他の約15%の歯科医師が、仮設歯科診 療所で診療を継続しているか、または他の歯科医院で勤務医をしています。ただし、高台移転や、福島原発の問題で復旧が叶わない歯科医師も多く、未だ深刻な 状況にあります。

会長 柳川 忠廣