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多職種の連携による口腔ケアのあり方


「ケア」の概念は、生活の様々な場面で継続的に行われるサービスであり、あまねく地域で提供されるべきものです。また口腔ケアも、人々の生命と生活 の質を支えるために必要な「ケア」の一つです。この口腔ケアの質を支えるためには、専門家としての歯科医師・歯科衛生士の役割が大きく、静岡県歯科医師会 では、口腔ケアの効果や意義について周知をするとともに、介護を要する方や高齢者などに対する歯科医療が円滑に提供されるべきことを、主張してきました。

最近は、誤嚥性肺炎など、口腔に起因する感染症の予防を含め、高齢者医療、がん治療、糖尿病など多くの分野において、全身の健康状態の改善に寄与す る口腔ケアの重要性が、科学的な根拠に基づいて社会に広く認知されてきています。元々病院の看護師などにより療養上の世話として行われてきた経緯はありま すが、実際に多くの病院や施設において、口腔ケアが実施されるようになってきました。

一般に言われる「口腔ケア」には、本人や介護者が行う日常的な口腔清掃を基本として、医療や介護の専門職種が関わる様々な視点やレベルの行為が含ま れています。その中で、歯科医師、歯科衛生士が行う口腔ケアは、歯科医療の専門的知識や技術に基づいて行われ、必要な歯科治療と一体化したものとも言えま す。例えば、歯石沈着や進行したむし歯が放置されている患者さんに、一般的な口腔清掃だけを行っても十分な効果を上げることはできません。歯石除去などに よって口腔内の環境を整えることにより、はじめて口腔内の適切な管理が可能となるのです。

また、在宅の方、施設入所者、入院患者などに対して、効果的な口腔ケアが提供されるためには、歯科医師あるいは歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が 参画する必要があります。そのためには、配置基準の設定など制度上の整備が求められますし、さらに患者さんの病態や居る場所に応じた「口腔ケアのマニュア ル」などを配備することも重要です。関係者の口腔ケアに対する理解を深め、それぞれの役割分担と連携を進めていくことで、地域で求められる口腔ケアの定着 に尽力してまいります。

会長 柳川 忠廣