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子どもの口腔状態


近年、口腔ケア意識の高まりに伴って子どもの口腔状態は大きく改善されている。この20年間でむし歯のある子どもの割合は約83%から37%になり、12歳児1人あたりの永久歯のむし歯等は平均3.34本から0.82本に減少した。しかし一方では、小学校の約4割(39.7%)に口腔崩壊(むし歯が10本以上あることなどから咀嚼が困難な状態)の子どもが存在しているとの調査結果もある。また、現在「歯科健康診断結果のお知らせ」は全員に渡されているが、受診の必要があっても未受診のままの子どもが、小学生では半数以上(52.1%)、中学生では31.1%もいる。その中で、未受診のままの子どもの6割以上が口腔崩壊の子どもであった。未受診の原因は経済的理由、親の多忙、ネグレクト、口腔ケアの無理解とさまざまな理由がある。また、「歯科治療は痛みが伴うと思い込みが強く、治療(受診)を進めても本人が行こうとしない」「部活動や塾等の習い事により時間を作ることが難しく治療に行かない子どもがいる」等、子ども本人の歯科治療に対する忌避や部活動、学習塾などから時間がないなども理由として指摘される。今後、子どもの口腔の健康の改善に向けて学校歯科医、教諭、養護教諭、栄養教諭をはじめ、学校医、学校薬剤師が協力して保健指導をする必要がある。また、子ども達を取り巻く環境は複雑化しており、歯や歯科疾患に対する局所的対応ではなく、子どもの健康そのものを広く考え、生活環境や家庭環境に対して支援をしていかなければならない。学校歯科医は、歯や口の大切さを通して子どもたちの夢をはぐくむ支援者になる必要があると思っている。
地域保健部員  松田 美代子